入社までの経歴を教えてください。
人との関わりから、多くのことを学んだ40年。
靴やかばん、子ども服を扱うチェーン店で販売員を22年間、その後に入社した住宅会社では飛び込み営業を18年間、それぞれ務めてきました。販売員時代には、3店舗以上にまたがりマネジメントを行うブロック長や、バイヤー業務も経験。当社の会長からは「口から先に生まれてきた男や」とからかわれるほど、人と接する仕事に打ち込み、お客様に失礼のない振る舞い、言葉づかいを磨きました。そんな私の転機になったのが、住宅会社を定年で勤め上げたこと。経験も資格もないまま心機一転、警備の世界に飛び込むことを決めました。
担当業務の内容を教えてください。
本業に加え、接遇面の品質向上も担っています。
電気工事現場の交通誘導に携わっています。入社当初は覚えることが多く苦労しましたが、同行の先輩や工事業者に「不足があれば教えてください」と前もって伝えておき、ひとつずつ課題を解決してきました。業務時間外では、会長や社長と話し込むこともしばしば。これまでの接客経験なども含めた話題で盛り上がるうちに、社内のコミュニケーション教育を任されることが決まりました。正社員は大まかな担当エリアが決まっているのが通例ですが、私の場合は松阪にも伊勢にも顔を出す形で、接遇面のアドバイスを送っています。
スタッフにはどのような意識で仕事に取り組んでほしいですか?
協力を求めるからこその謙虚な姿勢を。
私がスタッフに大切にしてほしいのは、自動車に対して「止まっていただく」という意識を持つこと。警察と異なり、警備員には停車を強制する権限はありません。それだけにお客様をもてなす感覚を持ち、誘導旗の扱いや会釈といった所作の一つひとつをていねいに行うことが、わずらわしい交通規制に協力を求めるうえでの最低限のマナーだと考えています。現場付近の渋滞にストレスを感じていたドライバーも、私たちの心を込めた振る舞いを見れば気持ちが穏やかになる。そんな警備を理想に掲げて、後輩に接しています。
今後の目標を教えてください。
仲間の縁を大切に思える集団づくりに向けて。
いままで積み上げてきた経験値をフルに活用し、後輩それぞれの個性に合わせた指導法を実践したいです。とはいえ、警備における接遇、コミュニケーションの重要性を伝えたいことに変わりはありません。それは、スタッフ同士の関係においても同じことです。現場では、ときとして危険回避のために大きな声が飛び交いますが、あくまでも交通の安全を守り抜こうという責任感によるもの。かたわらには必ず、同じ目的を共有する仲間への愛情があります。日々の教育を通じて、こういった現場感覚への理解も深められればうれしいですね。